「妻が口をきいてくれません」というなんだかドキッとするタイトル。
最近広告でよくみかけますよね。
なぜ口をきいてくれないのか?その理由は何なのか?
気になりますよね。
今回は、
・集英社ノンフィクション編集部公式サイト「よみタイ」で累計3,000万PVを記録
・第25回 手塚治虫文化賞【短編賞】受賞
・ドラマ化
あまりの人気ぶりにドラマ化までされた野原広子さんの「妻が口をきいてくれません」をレビューします。
*本記事は一部情報にネタバレを含むため、ご了承の上お読みください。
「妻が口をきいてくれません」ネタバレレビュー
奥様、お子さんと毎日会話をしていますか?家族団らんの時間を持つようにしていますか?仕事を理由に、家庭から逃げてはいませんか?
少しとげのある問いですが、ドキッとした方もいるのではないかと思います。
通勤中の電車で何気なく見ていたウェブサイト。
そのサイトに表示される広告に、目をひくタイトルを見つけました。
「妻が口をきいてくれません」
「ん?」とその唐突なタイトルが気になり拝見したところ、4コマ漫画の形式で主人公の男性(中村 誠)が、妻に口をきいてもらえなくなってからの日々が描かれていました。
「なぜ口をきいてくれないのか」
その問いの答えを探すため、自問自答を続ける誠。
答えを知りたくても、妻(美咲)は一向に口をきいてくれません。
答え合わせができないまま、経過した年月はなんと5年!!!
自分自身に置き換えて考えてみて下さい。
愛する妻が、「5年」口をきいてくれない。
どうしたらそのようなことが起こるのか。
本書の導入部分を抜粋します。
妻、娘、息子の四人家族として、平凡ながらごく平和に暮らしていると思っていた夫。
野原広子著「妻が口をきいてくれません」表紙そで部分より
しかし、ある時から妻が口をきいてくれなくなる。
家事、育児は普通にこなしているし、大喧嘩したわけでもない。
違うのは、必要最低限の言葉以外、妻から話しかけてこないことだけ。
何か気に障ることを言ってしまったのだろうか。
知らないうちに嫌がることをしたのだろうか。
特に思い当たることもなく、あれこれと働きかけてみるものの……。
本書は、子育て中のどの夫婦にも起こりうる話です。
ここで、本書の登場人物と構成をご紹介します。
「妻が口をきいてくれません」主な登場人物
・父⇒誠(妻に口をきいてもらえない主人公)
・母⇒美咲(旦那と5年間口をきかない妻)
・娘⇒真奈
・息子⇒悠人
・丸山さん(誠の勤める会社の同僚)
「妻が口をきいてくれません」本書の構成
・夫:誠目線の5年間
・妻:美咲目線の5年間
・5年が経過したその後
本書の面白いところは、
・5年間も口をきいてくれない
・妻が口をきかなくなった原因と経過について、夫と妻それぞれの目線で描かれている
です。
夫婦のいざこざについて、一方の目線だけでは何が正しいのかを判断することは困難です。
本書は夫、妻の立場を理解することができるようそれぞれのストーリーが描かれています。
多様な働き方、生き方が認められてきている現代ですが、
いまだに本書のような「家族の在り方」で生活している家庭も多いと思います。
「妻が口をきいてくれません」読書に要する時間と価格
おおよそ30分~60分ほどで読み終わると思います。
私と妻は、30~40分ほどで読み終わりました。
価格は、1,210円(税込)です。
「妻が口をきいてくれません」を読んだ筆者の感想
事実にもとづくストーリーであるリアルさが◎
本書は、女性・男性のどちらか一方の立場だけを描き、
他方を攻めるような異性嫌悪を象徴するものではありません。
著者が知人から聞いた本当の話を描いたもので、実際に起こっている、
または自身にも起こりうるという点が、より一層読者を引き込む内容になっていると思います。
正直、夫(誠)が悪い
私自身は、率直にそう思いました。
みなさんは、「夫婦関係の原因が夫にある」と聞くと、どのようなイメージを持ちますか?
「いつも飲んでばかり。酒癖が悪い」
「ギャンブル依存症」
「タバコを吸う」
「暴力をふるう」
そんなイメージがありませんか?
しかしながら本書の主人公:誠に関して、
妻が口をきいてくれない理由は「そこ」ではないのです。
意外ではありますが、典型的なダメ夫のそれとは違う理由で、誠は美咲に口をきいてもらえません…。
(そもそも誠は酒もギャンブルも過度に行うような人間として描かれていません)
働き方改革が進み、男性の育休取得も認知され始めた現代で、子育てをしているパパさんの中に
本書のような男性がまだいるのだろうか、と疑問に思いますが、
きっと多くの方の共感を得ているからこそ、「累計3,000万PV+書籍化」という結果があるのだと思います。
本書は、自分自身を振り返るよい“気づき”を与えてくれます。
私自身、いくつか誠と重なる点があり、自分自身の行動を見直すきっかけになりました。
妻と子供とのコミュニケーションが何よりも大切
子供が小さく手がかかる時期というのは、20代後半~30代前半のパパ・ママさんが多いと思います。
職場でも仕事を覚えて一人前となる時期ですし、
上司と後輩の板挟みでいろいろと仕事を任され始める時期でもあります。
筆者も営業職のサラリーマンですが、出張が多く、
月の1/3~1/2は家を空けることもしばしばあります。
出張族の皆様、出張時に解放感をえている方はいませんか?その時、残された奥さんや子供はどんな風に過ごしているか、気にかけていますか?
私は、ビジネスホテルに着くと必ずビデオ通話をするようにしています。
昭和の時代と比べ、離れていてもコミュニケーションをとる方法があるというのは、本当にありがたいです。
妻と子供の笑顔は私の宝物です。
仕事から帰ったら妻と今日あった出来事を話す
仕事から帰ってきて、ようやくホッとできる我が家。
ソファにどかっと座ってゆっくりしたいものですよね。
ですが、あなたの帰りを待っていた奥さんと子供は、
あなたと今日あった出来事や感じたことを共有したいものです。
あなたが「家でゆっくりくつろげるわずかな時間」は、
家族にとって「あなたと話せる貴重な時間」なのです。
楽しいことやつらいことを共有し分かち合う時間こそが、日々の幸せを築く土台になります。
バランスを保つ
子育ての難しい点は、会社の役割増と家庭の両立です。
家庭を守るための「お金」を稼ぐ=仕事を頑張ることも大切ですし、家族との時間も大切です。
他方にバランスが偏ってしまっては、どちらかに犠牲を強いることにつながります。
常に双方を気にかけつつ、バランスを保つことが重要です。
本書が気になる方はこちらです。
「妻が口をきいてくれません」まとめ
今回は、集英社ノンフィクション編集部公式サイト「よみタイ」で累計3,000万PVを記録したコミック
野原広子さんの「妻が口をきいてくれません」の概要と本書を読んだ筆者の感想をレビューしました。
要点は下記です。
・本書は、家庭をもつパパさんママさんにとって必読の内容です。かならずどこかに自身と重なる部分や共感する部分があります。
・今一度、「家族の在り方」を振り返ってみましょう。普段気付いているけど、面倒で「逃げていること」はありませんか?
・夫婦は一個人同士が構成する組織。相手と向き合うことが大切です。
・とにもかくにも、普段からコミュニケーションをとることが大切です。
それでは。